そよぐ風の日記

5日目無事終了。搬入日の12日以来、はじめて呑まずに今日のうちに帰宅できたような気がする〜。今夜は満月みたいです。すごく奇麗で明るい月。

朝出掛けようとしたら底面35センチ角、高さ60センチくらいの箱に入った豪華なお花が届きました。この9月末に個展を予定している神宮前のギャラリー・ヒッポからの贈り物です。ヒッポでは隔年で個展を開いてきました。じゅんこもオーナーの方と毎回挨拶して仲良くさせていただいてる画廊です。お花を見て、あらためて明日が命日なんだなと思いました。昨日は他に二人の友人からもお心遣いの品やお線香が届いてました。あー明日なんだなー。一年前の今日はまだ…。

「J. 風そよぐ庭から」展は今日で5日目。平日の昼間なので訪れる方は少なかったけど、皆さんとゆっくりおしゃべりできました。口開けに来てくれたマサコさんは2年前にヒッポでの個展以来の再会。お互い駆け出しの頃に一緒に仕事して以来の友人です。とても元気そうで、居合わせた僕のワラ細工仲間のハソメさんや、ランドスケープデザイナーのモチヅキさんと話が弾んでいろんな情報を仕入れていたみたい。僕の個展の場がきっかけになって、こうして友達同士の横のつながりができるのが喜びです。デザイナーのキヨコさんとも久しぶりにゆっくり愚痴をこぼし合いました。建築家のタマエさんがひねもすオーナーの幸子さんから伝授してもらったウメ酵素ジュースの作り方を僕も一緒に覚えました。ウメに同量の砂糖を足し、一日一回手で掻き回すんだそうです。「手で」というところがミソで、手についた常在菌が発酵を促すとか。もちろん素材は何でもいいそうです。ビワでも良いそうなので、やってみようっと。じゅんこもよく一緒に遊んでもらった先輩方“四人組”の皆さんも来場。「庭守」の絵を見て、「そうよね、じゅんこちゃんは絶対いるよね」と言ってくれました。僕もこの絵は気に入ってます。そこに高校時代の友達アンリとモメンコが。アンリは最近長唄の名取りになったので、そのお披露目に配る手ぬぐいを見せてくれました。デザインはイラストレーターのモメンコ。「注染でやりたかったんだけど、絵柄が細か過ぎて染めだと潰れちゃいそうだったからプリントなんだ」とのこと。いろんな事やってるなー、みんな。四人組も興味津々でアンリの話に耳を傾けました。

高校時代の友達が帰ったところでそろそろ18時半。今日は店じまい。下北沢の芝居小屋ザ・スズナリで劇団リブレセンの「江戸川区立第三小学校避難所」というお芝居を見ました。親しい役者さんにチケットを頼んだのですが、とても見やすい真ん中の席を取ってくれていて感謝。この劇団リブレセンは、今売れっ子のバイ・プレーヤー、高橋克己さんを輩出した劇団なんです。20年前に僕がリブレセンのワークショップに通っていた頃はまだ高橋さんが在籍していました。今日の芝居は近未来の東京が舞台。とある大災害で被災した人たちが集う避難所で物語が進みます。亡くなった奥さんが幽霊になって出てくるエピソードが有って、じゅんこもあんな風に出て来てくれないかなーと思いました。終了後、劇団員の山岸諒子さんと再会。彼女には最近になってじゅんこのことを伝えたので、「大変だったねー。今度呑もうねー」と固い握手でバイバイ。パワフルで素敵な女優さんです。

さて、久しぶりに12時前にブログ書き終えた。明日は最終日。寝まーす。

そよぐ風の日記

おはようございます。朝から快晴。風が本当に気持ちいい。今日のギャラリーはは12時から18時半までの営業です。《夜もす》はないのでご注意ください。僕は18時半まで終日在廊予定です。

昨日一年ぶりにじゅんこの動く姿を映像で見た余韻か、何だかまだ夢の中にいるような目覚めです。個展会期は明日まであるけど、昨日の山場を超えてかなりホッとしました。今日は18時半まで在廊した後、下北沢スズナリで劇団離風霊船(リブレセン)のお芝居を見る予定。20年ほど前、離風霊船のワークショップにしばらく通っていた縁で役者の山岸諒子さんとつながりが有るのです。今回は公演と個展が被っているので行けないかなと思ったけど、千秋楽の今日、ギリギリ行けそうなので楽しみ。ともあれ残すところ二日、じゅんこの庭展でお待ちしてます。

この日記のタイトルをなぜ《ネコたち》としたかと言えば、今朝これを描いている間パソコンを取り囲むように4匹のネコ(マリモ、モミ、クルミ、アンズ)が座っているからなのでした。今回の個展に向けて絵を描いているときもそうだったな。庭の草花をスケッチして、さて本番の絵にしようとすると机の周りにネコどもが座り、絵の具の上を歩き、膝に乗って、仕舞いにはいつの間にか絵の中に登場しちゃうのでした。草花の絵を描くつもりだったのにね。

備忘録として昨日の参加者を記録しておきます。モトナガ君、トモちゃん、イザワさん、モリさん、セキノさん、シーちゃん、ハナ、コウスゲ君、モリナガ、ジンさん、イズミさん、ヒトミちゃん、ホンジョさん、マエダさん、オチアイ君、ナガオカさん、タケダさん、カナちゃん、カミヤさん、ケイコさん、アキコさん、クシマさん、サイトウ君、アキちゃん、エモトさん、オバラ君、マルヤマさん、幸子さん

そよぐ風の日記

今日も午前さまです。先ほど1時半帰宅。本日おいでいただいた皆さま、本当にありがとうございました。晴れた日曜日、口開けのお客さんは太鼓仲間のナシキさんでした。本業は映画の仕事をしている人なので、どこか同じ匂いを感じる友達です。普段は太鼓の練習場でしか会わないけど、いつもとは違う場所で出合うと話題も変わります。映画「ROMA」の話題が新鮮だった。今日は僕の母校、都立三鷹高校の仲間が大勢来てくれました。じゅんこの同級生が4名、僕の同級生が5名、そして恩師のサイトウ先生。みんなが示し合わせてきたわけじゃなく、これもシンクロニシティ。サイトウ先生とは高校卒業以来の再会。同窓の別の友人が個展の事を伝え、ご自宅が会場に近いので来てくださったのでした。担任ではなかったので、まさか俺の事など覚えてないだろうと思ったけど覚えていた。40年以上前の何百人もの学生の一人一人を覚えているってすごい。「また個展があったら知らせてね」という言葉が嬉しかった。そのあと、じゅんこの教え子が来てくれました。僕らが結婚して間もない頃の教え子なので、やっぱり30数年前の生徒さん。もちろん初対面だけど、こうして来てくれるのが嬉しいです。先生と生徒の縁は深い。

夕方18時からは、じゅんこの命日を偲ぶ《祥月の会》となりました。今回の個展の目的でもあります。集まってくださったのは約30名ほど。お店の普段のレイアウトではキャパ20名ほどなので、テーブルをパズルのように動かしてスペースを作ります。昨秋のじゅんこの還暦の会のときは50名が来て満員電車のような混雑だったけど、今回はちょうど良い賑わいでほっと一安心。会場にはじゅんこの大きな遺影(60㎝×90㎝の電飾つき額入り)も飾りました。個展を企画してくれたオーナーの幸子さんの挨拶でスタート。「亮之介さんを心配してたけど、元気そうだから、こうして場を作る私の役割もそろそろ終わりかな」と。そんな事言わずこれからも背中を押してください!じゅんこが整体でお世話になった医師のセキノさんからは、献杯のコメントで「じゅんこさんは死ぬ事を恐れていなかった。普通はああいう風にふるまえない」というお話を。確かに彼女は最後まで強かったな。今日は泣くつもりはなかったけど、ぐっと胸が詰まる場面が何度か有りました。しばらくの歓談の後に映像でじゅんこの庭作りの説明が始まります。じゅんこがねーさんと呼んで慕っていたホンジョさんが「じゅんこの庭プロジェクト」をどういう思いで続けているかを語ってくれました。庭作りを指導してくださった庭師のヤノさんは、《地中の空気と水の流れを良くすれば、地上の植物は生き返る》という方針を信念を持って実践しています。ホンジョさんとは長〜い付き合いの職人さん。実はじゅんこが病気になるずっと前から《ヤノ君にこの庭を見てもらいたい》とホンジョさんに言われていたのでした。こんな機会に実現したのもじゅんこの作った縁なのでしょう。庭作りに対しての思いを語るじゅんこの秘蔵映像も上映されました。亡くなる一ヶ月前、ベッドサイドで語る彼女を記録してくれたのはアキちゃん。映像ディレクターとしての勘で「この記録は残したい」と撮ってくれた動画は僕もあれから初めて見るものです。「子供の頃から育ったこの家と庭が大好き。自然に溢れているけど、このままだと自然災害のときに近所に迷惑をかけちゃうのが心配だから、なんとかしたい」。一目見て胸が詰まったけど、しっかりと語る姿は美しくてカッコ良かった。本当に強い人だった。じゅんこが亡くなったのが6月18日。ヤノさんの指導のもとに実際の庭改造作業を行ったのが7月1日。映像作家のマエダさんが記録してくれた作業の様子も続けて上映されました。葬儀のわずか一週間後の事なのに、映像の中の自分が普通に振る舞っているようなのが不思議。いまもそうだけど、じゅんこが心の中にイキイキと生きているから彼女の不在を実感してないんだろうな。毎日彼女の遺骨と遺影の前でお線香を上げていてもこの世にいない気がしない。どっかに旅に出てるような感じです。

自分ではゼッタイできないこうした記録を撮っていただけたのは本当に貴重。いい短編ドキュメンタリーを見たような気持ちでした。最後に、参加してくださった方々全員を僕が紹介して一言コメントを頂いて散開となりました。予定では8時半終了のはずが、1時間もオーバー。散会後も10名ほどが残って結局店を出たのは12時半頃。こういう事ができるのも長い付き合いの友人、幸子さんのご好意のおかげです。感謝。

▲サチコさん

▲セキノさん

▲ねえさん

▲ベッドサイド

▲ギャラリートーク