絵葉書セット

谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を読んで、谷崎が好んだという陰翳に富む伝統的な日本の暮らしをイメージし、そのなかでたたずむ猫の姿を描きました。

頒布価格:700円

葉書サイズ(100×148mm)
4枚組み

[封筒ラベル]谷崎潤一郎とタイ

猫は頗る技巧的で表情に複雑味があり、甘えかかるにも舐めたり、頬ずりしたり、時にツンとすねてもみたりして、緩急自在頗る魅惑的です。しかも誰かそばに一人でもいると、素知らぬ顔をしてすましかえっている。そして愛してくれる対手と二人きりになった時、はじめて一切を忘れて媚びてくる──媚態の限りを尽くして甘えかかってくる、と云った風でなかなか面白い。(エッセイ『ねこ』より/週刊朝日昭和4年掲載)

【万年筆と云うもの】

仮りに万年筆と云うものを昔の日本人か支那人が考案したとしたならば、必ず穂先をペンにしないで毛筆にしたであろう。そしてインキもあゝ云う青い色でなく、墨汁に近い液体にして、それが軸から毛の方へ滲み出るように工夫したであろう。

【電燈の下】

実際電燈などはもうわれわれの眼の方が馴れッこになってしまっているから、なまじなことをするよりは、あの在来の乳白ガラスの浅いシェードを附けて、球をムキ出しに見せて置く方が、自然で、素朴な気持もする。

【燭台と漆器】

折角それを楽しみにして来たのであるから、燭台に替えて貰ったが、その時私が感じたのは、日本の漆器の美しさは、そう云うぼんやりした薄明りの中に置いてこそ、始めてほんとうに発揮されると云うことであった。

【夜光の珠】

美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。夜光の珠も暗中に置けば光彩を放つが、白日の下に曝せば宝石の魅力を失う如く、陰翳の作用を離れて美はないと思う。

Posted by mar