雨模様の4日目

天妄日記

雨音で目が覚めました。「天妄…」展4日目です。今日は12時半から18時半まで。僕は終日在廊します。足元お気をつけておいでくださいね。

 朝刊の見出しが刺激的です。与党大敗。これからどうするのかが問題。見守りたいですね。投票率は50%強のようです。統計を見ると、昭和の頃までは70パーセント近くの時が多かったようですが、平成以降どんどん下がっている。これはどういうことなのでしょう??

 この夏に千葉県の銚子に行き、犬吠埼や九十九里浜に遊びました。東京からさほど遠くないイメージですが、ローカル線で行くと3時間ほど。東京の隣県という想像よりもずっと遠くに来た感じがありました。銚子鉄道という短いローカル線に乗り、犬吠埼灯台へ。明治7年に作られた灯台は美しく、太平洋の風景が雄大でした。その日泊まった宿は九十九里浜に面していたのですが、長い海岸線に打ち寄せる波音は、湾の波と違い、連続して聞こえます。とても不思議な感じがしました。敗戦間近、日本はこの浜の一角千葉県一宮他、他県も含めて数カ所から米国に向けて風船爆弾を打ち上げました。ジェット気流を利用して飛ばす気球の開発には当時の最先端の技術が投入され、9000機ほどの風船が飛ばされます。しかし実際に米国にたどり着いたのは300機ほど。幸いそのほとんどが無人地帯に落ちたりして何の効力もなかったのですが、たまたま不発弾に触ってしまった民間人6名に死傷者が出たと伝えられます。死傷者が出たことは残念でしたが、日本軍の末期のこの「悪あがき」はとても滑稽に思え、風船爆弾という存在にはとても興味がありました。友人に頼んで「バルーン」というお芝居の台本を書いてもらい、仲間とやっている小劇団で上演したこともあります。美しい九十九里浜の風景に潜むそんな歴史が気になって描いたのが、今回個展の案内に使った絵です。クジラの左上の方に小さく風船爆弾が描いてありますが、この形は写真を見て描いたものです。実際の風船は直径10メートルもあり、試作段階で敵に見られないよう、日劇や宝塚劇場、両国国技館などの屋内で膨らませたというエピソードも。

天妄日記

Posted by 長野亮之介