絵師敬白

その昔、僕の絵仕事はちっちゃな白黒カット描きから始まった。

一本の線を引くにもいじいじと下描きをして、せこせことインクを乗せ、挙げ句、消しゴムと修正液のお世話になった。

あれから数十年。少しは迷わず線を引けるようになったんだろうか。

今回、一発勝負の「水墨画」におこがましくも挑戦してみると、想定外のにじみに驚き、予想外の掠れに慌てる。

相変わらず迷いまくりなんだけど、そこには思い通りにならないという楽しさがある。

ま、いっか。

せめて心意気だけでも迷わず一気に線を引き、水と墨に遊んでもらうつもりで筆を運んでみました。

2017年9月5日 長野亮之介