流西遊影日記

 「流西遊影展」は昨日で終了しました。のべ180名程の方に見に来ていただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。

 古典文学に材を取り、取材旅行をして描くという、今までとはちょっと違うアプローチをし、展示方法も初めての試みでした。展示していた絵日記は旅の途中に描いたスケッチにあとから文字を加えて絵日記風に仕立てました。スケッチと言ってもメモのような描きなぐりなので、お見せするのは恥ずかしいと思っていました。僕の個展のプロデューサー役を毎回務めてくれる相棒のマルヤマさんのアイデアで展示する事になったのですが、皆さんが結構しっかりと読んでくれました。旅のライブ感が出てよかったという声も聞こえました。

 

 また、立体の琵琶法師も目を引いたようです。いつのまにか個展もずいぶん数を重ねてきましたが、まだまだいろいろなやり方があるな〜とあらためて思いました。

 いつもは個展が終わるともう次の事など考えられなかったのですが、今回は次はどんな旅をしよう?とちょっとワクワクしてる自分がいます。来てくださった皆さんからもたくさんのアイデアを頂きました。今回とても面白かったのは、地図を展示した事です。神戸から下関までの地図ではありましたが、これを見た方が自分の出身地の話とか、先祖の話など、土地の話題を語って頂く事が多く、興味深い時間を過ごせました。これから個展では地図が欠かせないなーと思いました(笑)。

 昨日の最終日はぼんやり雨模様でした。来場する方は休日にしては少なめでしたが、その分一人一人の方とゆっくりお話しできたと思います。撤収時には友人たちが自然と集まってくれました。総勢7名で1時間弱程で撤収終了。ゼンちゃん、ヤマさん、モリナガ、ハナ、マルヤマさん、タケダさん、ありがとうございました。タケダさんの車で我が家に荷物を運び、その後マルヤマさんを含め三人で軽くお疲れさま会をしました。おいしいお酒でした〜〜。

流西遊影日記

おはようございます。「流西遊影展」、いよいよ今日10月6日が最終日です。今日は午後5時で終了となりますので、お気をつけ下さいね。僕は12時から5時までずっと在廊予定です(終了後に撤収作業が有ります。もしお時間がある方、手伝ってくれると嬉しいです〜)。

今回の個展のテーマに《平家物語》を据えたのは、今年の8月上旬に琵琶演奏で「壇ノ浦」の件(くだり)を聞いた事がきっかけでした。初めて聞いた生の琵琶語りに、いろんなイメージがわーっと頭の中に流れ込んできて、その絵を描きたいと思ったのです。いつも一緒に個展を作っている相棒のマルヤマさんにその体験を話したところ、彼が今まで一番感動したお芝居がやはり壇ノ浦の合戦に材を取った《子午線の祀り》という舞台だったと聞き、にわかに盛り上がりました。まずは現地を見て来いと背中を押されて旅に出たという経緯が有ります。

そもそも琵琶を聞いたのは、演奏者が僕の妹の友人だったからです。和楽器には興味があったものの、琵琶を聞くのはその時が初めてで、こういう展開になる事を期待していたわけではありません。不思議な縁のようなもの。その琵琶奏者、榎本桃香さんが昨日会場に来てくださいました。彼女のレパートリーは多岐に渡りますが“平家物語はとても重要な演目なので、それを聞いてこういうテーマに広がったのはとても嬉しいです”と言ってくれました。まだ若い方で、これからどんどん活躍の場を広げて行くと思います。どこかでお名前を聞く機会があったら是非チェックしてみてください。

琵琶は弦楽器ですが、バチが胴に当たる程激しく打ち鳴らされる様は時に打楽器のようです。語りがメインなので、琵琶の音は奏者の声を彩る効果音のような役割を果たします。講談や落語のような、日本の伝統的な話芸の一形態という個人的な印象です。《平家物語》の知識が少し有ればより楽しめると思います。僕は流西遊影旅から帰った直後、もう一度彼女の演奏を聴きました。壇ノ浦ではなかったのですが、登場人物なども多少わかり、また別の味わいが有りました。

なお会場には榎本桃香さんの肖像画を飾っています。これは僕の絵では無く、やはりイラストレーターである妹、長野美穂の作品です。美大を出て技術もある彼女の絵は迫力が有りますので、あわせてお楽しみください。僕の絵が霞むのでヤバいですが。

昨日もう一つ面白い出会いがありました。友人の紹介で来てくれたカメラマンのナカノさんです。僕は311の被災地支援のためにTシャツを作り、売り上げを現地に送るという活動に関わっていました。支援先の岩手県大槌町の特産品が鮭なので、Tシャツには僕が描いたサケのイラストを配し、「鮭T」と呼ばれて多勢の方のご支援を頂きました。ナカノさんは元々鮭の研究者であり、たまたまこの鮭Tを購入していたのです。そのTシャツの事が最近ひょんな事から僕の友人との会話で話題になり、この個展に足を運んでくれたのでした。

会場には読売新聞で連載している映画紹介のコラムの原画を飾っていますが、そのうちの一枚がスウェーデン他合作の《サーミの血》と言う映画。それを見たナカノさんが“実は私はサーミの人たちの写真を撮ってるんです”と切り出しました。サーミというのはスカンジナビア半島で主にトナカイ遊牧をする少数民族。ナカノさんは希少になったサーミの老猟師を追い続けているとの事。日本ではあまり報道される事がない北方の伝統社会の記録を続ける貴重な活動です。会場にちょうど居合わせた友人の映像ディレクター、ヤマダさんに早速紹介しました。ヤマダさんは農大探検部出身で世界中を旅してきた映像監督ですが、スカンジナビアには訪れる機会がまだなく、憧れの地なんだよーと語り始めました。個展を開催するのはエネルギーがいるけど、こんな出会いも多々起こるので報われます。

昨日お知らせした好評をいただいているマグカップ、会場にある在庫があと僅かになってしまいました。でもご希望が有れば追加で制作したいと思っています。お問い合わせください。では最終日、会場でお目にかかれる事を楽しみにしています。

流西遊影日記

おはようございます。流西遊影展7日目。本日も12時から午後7時まで終日在廊予定です。今日も東京は気温32度まであがるとか。10月とは思えない気候だけど、湿度は低いので夏日といっても過ごしやすい…といいな。

 昨日も暑かったけど、画廊にずっと居るとあまり外の気温が分かりません。僕の家にはクーラーが無いので、日常的には外気温に馴染んで生きてます。こうして一日の大半を空調の利いた場所に居るのは僕にはとても特殊なことなのですが、快適な状況にはすぐ慣れちゃいますね。自分だけ楽な場所に居ると思うと、同居してる7匹のネコたちには申し訳ないと思うけど。うちのネコどもは出入り自由なので、暑ければ勝手に涼しいところを探して出掛けてるので心配は無いですが。今回の個展のために、お盆過ぎに3泊4日の取材旅行に行きました。その間はご近所に住む友人のキクカワさんに時々来てもらってネコの世話をしてもらいました。ネコたちは狩りが得意で、トリやネズミ、昆虫など何でも食べるので、どうあっても多分なんとか生き延びると思うんです。が、旅から帰って来るとみな玄関で待ってたりする。やっぱり人がいないと寂しがるようです。

 昨日は亡妻の親友、イズミさんが来てくれました。妻と同じ国語の教師ということもあり、今回のテーマ《平家物語》には大いに興味を持っていただいた様子。もちろん全巻読んでいるそうです。平家物語は琵琶法師が語り継いできた《平曲(へいきょく)》から記録されたもので、定本というものがなく、何を出典にするか(底本)によって内容が違うと教えてくれました。にわか勉強の僕はそんな事も知らなかった。ちょうど居合わせた義弟に「壇ノ浦で平氏の政権は終わったんだよ」と知ったかぶりで話していたのですが、それを聞いたイズミさんがあとで優しく訂正してくれました。平家滅亡のあと源氏による鎌倉幕府時代になるわけですが、初代頼朝の死後実権を握ったのは北条家。学校で習ったのをなんとなく覚えてます。この北条家、実は平氏の一族なんですと。ということは鎌倉時代が終わるまでは平氏の政権が続いていたのですね。これは常識なのかもしれないけど、歴史音痴の僕は認識してませんでした〜。だとすれば、あちこちに平家の落人部落と称する場所があるのは、鎌倉幕府下でも同じ平氏とはいえ系統が違うと冷遇されたという事なんでしょうか。一方で壇ノ浦に入水した安徳帝の母であり清盛の娘の【建礼門院徳子】が“平家滅亡”後も生き延びて天寿を全うしたのも、平氏である北条氏の配慮だという事なのかな。歴史は重層的で奥深いです。

 歴史のロマンからいきなり現実的な話ですが、会場では《騎馬のネコ武者》のイラストを配したマグカップを販売してます。素材は再生プラスチック。環境負荷を抑えたエコマグカップと唱われています。電子レンジにも使用できますよ。対峙するネコ武者の間に琵琶の絵が入っていますが、これは案内ハガキの切手スペースの下に配した絵です。カップは限定30個制作で一個1500円。あと10個あります。お手に取ってご覧下さいね〜。

 

流西遊影日記

おはようございます。今朝は久しぶりの雨でした。朝方5時頃かな、激しい雨音で目が覚め、慌てて開けっ放しだった窓を閉めたくらい。9時半の今は止んでいるけど、まだ怪しい雲行きです。10月に入ったというのにこのところ毎日蒸して暑かったので、いいお湿りの感は有ります。

流西遊影展6日目。今日も12時から午後7時まで在廊予定です。

 昨日の画廊では何故か「福山」が何度も話題に上りました。福山市は《広島県の東部に位置する中核都市》とWikipediaには載ってます。僕は行った事もなく、今回の絵にも関係ない場所ですが、福山出身者が1人、福山で取材をした方の話が3件、偶然だけど時間を置いて繰り返し耳にしたので印象に残りました。福山の名所という《鞆の浦》の地名はインプットされましたよ。会場には、今回の絵を描くために訪れた平家縁の土地、神戸〜高松〜広島〜下関 の旅のルートを描いたイラストマップを掲示しているのですが、訪れた方達が地図を見ながらいろいろな話をしてくれるのが面白い。この夏の僕の旅は3泊4日の弾丸旅行。自分で立てたスケジュールに追われ、平家の足跡だけを追うピンポイントの旅でした。会場に来てくれた方から追加情報をいただくと、訪れるべきだった“取りこぼし”も多い。あ〜〜。もう一度行ってみたいと思います。

 昨夜は個展終了後に古い付き合いの先輩ヤマザキさんと久しぶりに地元で飲みました。たまたま二人とも同じ最寄り駅なので、ヤマザキさんが常連のお店で一杯。僕は地元の店で飲む事があまり無く、初めて寄るお寿司屋さんです。新潟県十日町出身の若旦那と楚々としたお母上の二人で切り盛りしているお店で新鮮な魚を頂き大満足。若旦那はかつてアーティストの村上隆さんのところで働いた時期もあり、ホントはイラストレーターになりたかったという話しなどで盛り上がり、名曲『スーダラ節』の歌詞じゃないですが、{ちょっと一杯のつもりで飲んで いつの間にやら}12時でした。楽しい酒の上、帰路が近いのも地元飲みのいいところです。降り出した小雨の中をいい気持ちで帰りました。

流西遊影日記

おはようございます。10月3日。《流西遊影展》今日から後半が始まります。僕は12時から午後7時の閉廊まで終日在廊予定です。日曜日まであと4日間お待ちしてます。

会場のショウウィンドウに立体作品「猫琵琶法師」を展示しています。今回のテーマ《平家物語》に因んで、「耳無し芳一」をイメージしました。本体と琵琶は、ワラで作った芯に和紙を貼り重ねて形成してます。和紙は、月に一度ですがお習字を習っているので、その時にたくさん出る半紙の反古を利用しました。一番表面には文字が貼ってあります。これは明治時代の教科書を貼付けたもので、木版で刷られた論語などです。だいぶ前に古本屋の店先で二束三文で売られていたものを何か使えないかと求めておいたのが役に立ちました。100年以上前の和紙で紙魚が食ったりしてるんですが、薄くても紙質はとても丈夫。現在の安い書道半紙よりずっとしっかりしてます。貼る時に手でちぎってノリを全面に塗る際、半紙はすぐ破れるけど明治の教科書は強い。ちぎる時も明治和紙は繊維が長くて抵抗が強いのが分かります。手漉きの和紙なのかな。余談ですが太平洋戦争の末期、日本軍は和紙で巨大な紙風船を作って水素でふくらまし、爆弾を搭載してアメリカに向けて飛ばすと言う作戦を実施しました。飛ばした総数約1万発。そのうち千発くらいが太平洋を越えて米本土に到達したものの、もちろん風まかせなのでほとんどは人知れず野山に落ちたそうです。和紙は強いんですね。

流西遊影日記

画廊がお休みなので今日はやっぱり映画を見たい!ということで、大好きな立川シネマシティで映画を見てきました。《ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ウエスト》という長いタイトルの西部劇です。マカロニ・ウエスタンの巨匠と呼ばれたセルジオ・レオーネ監督の1968年の映画。半世紀前の作品だけど、冒頭から異様なほどの緊迫感。人物のアップが効果的に使われて、舞台の西部開拓時代末期の荒くれ男たちが目の前に居るように迫って来る。ハリウッドの某大物スターが残酷な悪役として登場するのもびっくりです。役者は時代劇のように見栄を切るし、決闘シーンはこれでもかと時間をかけてじっくり映す。今のようなCG技術が無い時代にどんだけお金と時間を掛けて作ってるんだろうと唖然としました。CGもうまく使われてる映画はいいけど、やっぱり限りなく生に近い迫力は違うなと思います(とはいえ、エンドクレジットに「特殊効果」スタッフもあったので、少しは絵をいじっているのかもしれないけど)。

マカロニ・ウエスタンというのは当時世界中で流行っていたアメリカの西部劇を真似て、ロケ費や人件費の安いイタリアなどで無名の俳優を使って低予算で量産したバッタもの。でも突拍子もない物語やキャラの立った主人公、エロや残酷な描写、印象的な音楽などが受けて1ジャンルとして熱狂的なファンがいるみたい。僕の子供の頃はテレビでよくやっていたので結構見てたし、好きでした。「ワンス〜」は、マカロニ・ウエスタンで一躍有名になったセルジオ・レオーネ監督が満を持してアメリカでオールロケをした作品だそうです。しかもマカロニ時代の作風とは違って派手な設定などはなく、滅び行く西部開拓時代への鎮魂歌のような味わい。物語の進行もゆっくりなので、一時は客席のどこからかいびきも聞こえてました。でも僕は面白かった。一部では《西部劇の金字塔》と言われてるそうですが、納得できる内容でした。映画はいいですね〜。

流西遊影日記

おはようございます。今日もいい天気。本日10月2日(水曜日)は休廊日となります。明日3日(木曜日)から6日(日曜日)まで後半が始まります。

昨日は10月1日で都民の日、映画の日。都内に映画を見に来がてらギャラリーに顔を出してくださった方もチラホラ。草薙剛主演の《台風家族》今野敏原作の《任侠学園》インドのお受験模様を描いた《ヒンディーミディアム》ブラッドピット主演のSF《アドアストラ》、ロッククライミングを追ったドキュメンタリー《フリーソロ》、セックスセラピストを追ったドキュメンタリー《教えてドクター・ルース》などのタイトルが耳に入りました。ちょっとマニアックです。僕はまだどれも見てなくて、にわかに映画が見たくなりました。

今回の個展会場にはテーマの平家物語に関連する絵以外に、普段の仕事で描いている映画の一場面を描いた絵も展示しています。読売新聞で20年続いている連載『銀幕一刻』の挿絵です。フィリピン映画《マルリナの明日》、邦画《火口のふたり》、カナダ映画《さよなら退屈なレオニー》の最近の三作の他、インドネシア映画《立ち去った女》、スウェーデン映画《サーミの血》の5点です。これもマニアックですね。映画の紹介コラムなのですが、取り上げた映画の中のファッションに関するアイテムの蘊蓄を入れる趣向となっています。

映画は好きだけどファッションには疎いので最初は大変でした。今は大分慣れてきたものの、毎回四苦八苦して興味深いファッションアイテムを探してます。映画は高校生の頃から大好きで、学生時代は映画研究会というサークルで8ミリ映画を作ったりしてました。当時はフィルムですから、例えばフィルム一巻は3分しか回せないし、夜間の撮影には強いライトを当てなければならないので機材が重くて大変。もちろん現像するまでどのように写っているかわかりません。今のデジタルメディアとは雲泥の差でしたが、それが楽しかったな。

 閉廊後は長く関わっているミニメディア「地平線通信」で僕が手がけているインタビュー記事作成のための取材。ハリウッドスターのレオナルド・ディカプリオに一目惚れしたのをきっかけに世界中を放浪する事になったユニークな女性でした。人はホントに面白い。

流西遊影日記

おはようございます。10月1日火曜日、秋本番。秋晴れの朝です。流西遊影展4日目。今日も12時から午後7時まで終日在廊します。

 このところ頻繁に妻の夢を見ます。昨夜も二人でどこかの国を旅してました。そういう朝の目覚めには彼女がそばに居ない事が不可解という思いばかりが募ります。そんな夢を見たのは昨日大阪から来てくれたイマムラくんのせいかも。会うなり「よかったー。笑えるようになったやん」というのです。昨年会った時は、顔は笑っていても目が泣いてたという。全然自覚していなかったのだけど、そうだったのかな。そう聞いてどういう感情だか自分でも分からないけど、一瞬涙があふれました。彼とはかれこれ30年くらいのつきあいで、当然カミサンとも知り合いでした。友達から“喪失感がつのるのはこれから”といわれることがあるけど、目が笑えるようになってから、そんな時期が来るのかな?未知の世界です。

 イマムラ君を始め、昨日は関西方面にルーツの有る方が目立った。ライターのキョウコさんは京都出身。冒険家のツボイ君は和歌山出身。太鼓仲間のカオリさんは山口県ルーツ。友人のサトコさんも関西ルーツ。長野県ルーツの僕が西日本に精神的な距離感を感じるように、西ルーツの方は東に同様の思いを抱くらしい。バイクで国内外を走り回ってきたツボイ君が言うのできっとそうなのだろう。そんな僕が今回の短い旅であらためて西の旅の面白さを感じたのは、自分の狭い知見を広げるのにいいきっかけになるのではと楽しみです。

 今回の「流西遊影展」が今年僕の個展の三回目となります。たまたまそんな巡り合わせになってしまったのだけど、さすがに三回は多くて大変でした。友人のあるアーティストは“作品が溜まったら個展やるんとちゃうの?”というけど、アーティストではないポンコツ絵描きの僕は締め切りが無いとなかなか描けない。そのうえ追い込まれないとエンジンがかからない。今回も、最初の一枚、クジラの絵を描き始めたのは個展開催の一ヶ月前の8月28日でした。いつも、“あー、あと一ヶ月、いや、半月、いやいや一週間有ればもう少し描けるのに〜”と思いつつ初日を迎えるのでした。ちなみに案内ハガキに描いたクジラはマッコウクジラと言う種。クジラを平家に見立て、源氏に破れて壇ノ浦の海に沈んでいくイメージを託してます。空に浮いている白いものは何か?これは、《壇ノ浦の合戦の火ぶたが切られる直前に空から白い旗が落ちてきた》という平家物語にあるエピソードをヒントに描いた白い布なのです。白は源氏のシンボルカラーなので、平家が負ける凶兆とみなされた。平家のシンボルカラーは赤。絵の中では海面に赤い布を浮かせました。ちなみにマッコウクジラは深海性の動物なので、浅い関門海峡にはいないと思います。分かってはいたのですが、マッコウクジラの姿が、源平合戦の武者絵に登場する《烏帽子》に似ているような気がしたので登場してもらいました。他の絵についてもいろいろとお話ししますので会場で僕に聞いてくださいね。