流西遊影日記

おはようございます。秋晴れの月曜日。今日も12時から午後7時まで終日在廊の予定です。開催中のギャラリーヒッポの入り口ドアすぐそばに《神宮前二丁目》と言うバス停留所があります。《ハチ公バス》というコミュニティーバスの停留所です。千駄ヶ谷、原宿、渋谷、表参道などを循環してますよ。千駄ヶ谷からだと5分もかかりません。

9月も今日で終わり。はやいなー。明日10月からは消費税が上がるんですね。税金をどう使うのかがいよいよ問題だなと思います。ニュースを見ると駆け込み消費が増えてるそうですが、うちはとりあえず大きな買い物の予定が無いのでなにもせず。

昨日の朝もまたもや四谷まで行ってしまった。僕は電車の中で本を読むクセが有るんですが、夢中になると時々乗り越しをやってしまう。慌てて引き返してギャラリーに向かう途中、タケダさんに会いました。会社に行く用事があるのでその前に寄ってみたと。タケダさんはこれでギャラリーに連続3日目の“出勤”です。開廊時間から10分程遅れて着くと、もう何組かのお客さんが。読売新聞と東京新聞に今回の個展のお知らせが載ったので、それを見た方もいらしてださいました。読売新聞で、イラストと文章で映画を紹介する記事「銀幕一刻」を連載しています。今年で20年になる長寿コラム。映画が大好きなので半ば趣味のような仕事です。小さな連載で普段は読者からの反応はないのだけど、個展の機会にこうして「見てるよ」と言ってくださる方に会うととても励みになります。この日会った方は“文章を読んでると、色が見えるのよ”と言ってくださいました。この仕事では絵よりも文章に時間がかかるので、こういう感想は嬉しいなー。記事ではイラストスペースは小さいのですが、原画はA4程のサイズです。記事の切り抜きと共に最近の作品など5点を掲示しています。

今回の個展の動機となった《平家物語》に興味を持ってきてくださる方もチラホラ。友人のレイコさんは開口一番「子供の頃から源義経ファンだったんです」。義経好きが嵩じて大学でも「趣味で」中世を研究したとのこと。僕は今回のテーマのために平家の《都落ち》を追う短い旅をしたのですが、訪問先の須磨、一の谷、屋島、厳島神社、壇ノ浦などは彼女も全部訪れていました。義経ファンなのでもちろん鞍馬も行っているし、おそらく京都のあちこちも訪ねてる事でしょう。僕は今回のテーマを思いつくまで《平家物語》や《源平の合戦》は断片的にしか知らなかった。《ヒヨドリ越えの逆落とし》、《那須与一が扇を射た》《美少年敦盛》などの故事もなんとなく聴いた事が有るくらいで、それがどこでどんな経緯で起きたのかなんて興味を持ってませんでした。にわか勉強とはいえ、流れを知ってみると、この時代は面白い。覇権争いの大海原に沢山のドラマが浮き島のように浮かんでます。人物の名前が覚えにくいけど、個々のキャラが見えて来るとそれもすぐ慣れます。《平家物語》が成立したのは13〜14世紀頃とされているようだけど、いずれにせよ、かのシェイクスピア(16〜17世紀)よりも2世紀も前の作品。でもシェイクスピアに少しも引けを取らないドラマチックなエピソード満載です。とはいえ、僕もまだ原典をちゃんと全部読んだわけではないのですが。会場には僕が訪ねたルートの地図を掲示してます。そこに記された平家縁の地を訪ねている人は結構多く、居合わせた人がそれで話が盛り上がる事も。以前「林業新知識」という林業の業界紙の仕事をやっていた時期が有り、毎月のように全国各地の林業地を訪ね歩きました。多分47都道府県を2巡くらいはしてますが、限られた時間で東京からピンポイントで訪ねる取材です。今回のようにルートで巡る事はあまり無かったので、僕の取材旅行の中では新鮮でした。こうして自分でテーマを決めて旅をするのは面白い。“どうせなら次は源氏も追えば、果ては義経のチンギスハーン伝説につなげてモンゴルまで行けるんじゃない?”というアイデアを出してくれた友人も。僕は90年代にモンゴルを何度も訪れ、あながち縁がなくもないので、このアイデアはちょっと惹かれます。

昨日、日曜日は平日と違ってギャラリーが5時までなのでちょっと早じまい。居合わせた友人のモトナガ夫妻とムラマツ夫妻と5人で画廊近くのもつ鍋や「旦過(たんが)」で一杯。このお店はギャラリーヒッポで個展を開催するようになった2011年頃から時々利用してる。久しぶりのモツ鍋がおいしかった。ちょっと奥まった路地にあってわかりにくいかもしれないけど、なかなかおすすめです。店名は北九州市の市場の名前に因んでいるそうですよ。

【昨日の会場風景】(4時20分頃)

お知らせ

「流西遊影展」の会場の模様を、写真で紹介します。まだオープン前の風景なので、今後、いろいろと手が加わるかもしれませんが、とりあえず。

▼扉を開けてみたところ、全景。こんな感じです。

▼入ってすぐ左、道路に面したショーウィンドウには、立体作品「猫琵琶法師」を展示。周囲に立つ猫武者や猫尼は、壇ノ浦のくだりを聴く平家の霊を表しています。

▼「猫琵琶法師」は、稲ワラを三つ編みにした芯に和紙を貼り重ねて形成。表面の文字は「耳無し芳一」をイメージし、明治時代の教科書に使われた『論語』と『小學読本』のページを貼り込んであります。

▼センターのテーブルでは、「猫武者マグカップ」と2種類の「絵葉書セット」を販売。

▼左側の壁面に並ぶのが、「旅の絵日記」。須磨、一の谷、屋島、宮島、壇ノ浦を巡って描いたスケッチに着色し、文章を添えました。

▼左奥の壁面に並べたのが、今回のメイン作品。西へと追われゆく平氏のイメージを膨らませて、水彩画を8枚描きました。

▼下の棚に並べたのが、今回の旅で撮影した写真。コンパクトカメラなのに意外と表現力に優れていて、土地の表情をしっかりと記録してくれています。

▼正面には、水彩画のうちの「朝霧の蹄音(つまおと)」を大伸ばしのプリントで展示。その脇にもメイン作品の「天の階梯(一の谷)」と「八百年の沈黙(壇ノ浦)」を置きました。下にあるのは、マグカップ用に描いた猫武者「平猫盛」と「源猫朝」です。iPadのスライドショーで、過去の作品を紹介しています。

▼右奥のコーナーには、月刊『望星』の表紙絵と、読売新聞で連載中の「銀幕一刻」、さらに1点だけですが、『地平線通信』の案内イラストの原画を展示。読売の記事も手に取って読んでいただけます。

▼入って右側の壁面に並ぶ三つのブロックの一番奥には、リョウノスケの実妹ミホ(イラストレーター)の作品『もも琵琶』を展示。友人である薩摩琵琶奏者・榎本桃香さんの肖像画です。彼女の演奏を聴いたことで、今回の展示の方向が決まりました。

▼真ん中のブロックでは、今回撮ってきた写真を大型モニターでスライドショー展示しています。上にあるのが、今回の絵地図『流西遊影図会』。反対側の壁にも大伸ばししたものが貼ってあります。額装で赤の縁が隠れてしまっているのが、残念。

▼入ってすぐのコーナーには、絵師敬白とプロフィールを展示。芳名帳が置いてありますので、お名前をどうぞ。

▼入口横のショーウィンドウを外から見たところ(広角レンズの歪みで、窓枠が曲がって見えています)

▼以上、時計回りで会場を紹介しました。会期は9月28日(土)から10月6日(日)です。10月2日(水)はギャラリーがお休みなので、ご注意ください。みなさまのご来場をお待ちしています。

流西遊影日記

おはようございます。流西遊影展二日目です。本日日曜日の開廊は12時から午後5時まで。日曜日は5時まで(平日は7時)なのでお気をつけ下さい。僕は終日在廊予定です。今日はどんな方に会えるのかな〜と楽しみです。

今日はちょいと曇り空。うちの荒れ放題の庭にはいつの間にか曼珠沙華が咲いてます。そんな季節になってます。あと二日で10月だもんね。そう言えば昨日今日と千駄ヶ谷からも近い代々木公園で《第27回ナマステインディア》という日本最大級のインドフェスが有るそうです。入場は無料。インド好きの方は要チェック。ついでにヒッポにも寄ってね。

 昨日の初日は久々の千駄ヶ谷駅まで行くのに、つい乗り過ごして気がついたら四谷。慌てて戻ってギャラリーに急ぐ途中、ふと思いついて鳩森神社で初日のご挨拶のお参り。鳩森神社は境内に富士講のミニ富士山が有ります。都内最古の富士塚だそうですよ。知る人ぞ知るパワースポットなので、お時間に余裕があったら是非寄ってみてくださいね。11時半頃にヒッポに着いたら、もうマルヤマさんとタケダさんが準備を始めてました。前日なんとか仕上げた「絵日記」を掲示して、なんとか準備完了です。恒例のグッズは、テーマに合わせた《ネコ武者絵のマグカップ》1500円と、メインの絵を配した《絵はがきセット》三枚500円を作ったので、会場でご覧くださいね〜。1時過ぎ頃からお客さん。お客さん同士が僕の個展で知り合って意気投合する事も多いので、皆さんゆっくり滞在してくださる。昨年亡くなった妻が教師だったのですが、その教え子夫妻がやってきて、居合わせた僕の友人たちと話がはずんでゆっくりしていってくれました。絵を見ていただく事はもちろんですが、会場がこういう場になるのがとても嬉しいです。

 閉廊後、タケダさんと学生時代からの友人ハナと三人で軽く一杯。いや、3杯かな。千駄ヶ谷のヒマラヤカレーと言うネパール飲み屋で久しぶりにくつろぎました。エスニックフードもしばらく食べてなかったのでおいしかった〜。

流西遊影日記

おはようございます。今日も気持ちのいい秋晴れの朝です。本日9月28日(土)から、流西遊影展を開催します。開廊はお昼12時から午後7時まで。僕は終日在廊の予定です。皆さまのおこしをお待ちしています。

 昨日金曜日はギャラリーへの搬入と設営の日でした。朝4時まで作品を制作してたけど、肩が痛み、目もかすんできたので中断。展示予定の絵が5枚整わないまま迎えた朝…。9時に友人のサチコさんが手伝いに来てくれました。バイトで舞台の大道具の立込みを長くやっている彼女は仕事も速く段取りもすぐ理解してくれるので強力な助っ人なのです。木曜日にも額装を手伝ってもらってホントに大助かり。早速残りの額装の段取りを指示すると「私、会社に出社したような気分ですよ〜」とサチコさん。僕は隣町の実家に搬送用の車を取りに。実家で妹のミホから絵を受け取る。f10という大きなサイズで薩摩琵琶の奏者榎本桃香(えのもとももか)さんの肖像画を鮮やかなアクリルで描いている。今回の個展のテーマ《平家物語》を思いついたのは、桃香さんの琵琶で「壇ノ浦」の演目を聴いたのがきっかけなのです。そして桃香さんはミホの友人。そんな縁もあり、初めての兄妹競演となりました。妹で僕と同業のミホの仕事は、普段はもう少しファンタジックな印象だけど、この肖像画はやや写実的かな。「友達なんで余りデフォルメできなくて〜」とミホ。色使いも構図も素晴らしいので、この絵を飾ると僕の絵がかすむなーと思う。

家に戻り、荷物を積み込んでサチコさんと出発。混んでいる都内を運転するのは苦手なのだけど、ナビが有るからなんとかなる。なのに途中ナビが取った変なルートに二人で疑問符を抱きながらようやく12時半頃ギャラリーヒッポに到着。僕の個展の仕掛人で相棒のマルヤマさんと、友人のヒトミちゃんが先着して待っている。早速みんなで荷物を運び込み設営開始。ワタワタしてるところに出張先の神戸から帰ったばかりの友人タケダさんも駆けつけてくれた。

ギャラリーヒッポでの展示は今回で5回目かな。勝手知ったるマルヤマさんが作った展示設計図を元に額を配置して調整。こう書くと簡単そうだけど、実際は絵を掛けてみると思っていたのと違って順番を変えたり、額縁の色と絵が合わなくて入れ替えたりなど、調整する項目が多い。もちろん額の高さ調整や照明の調整も有るし、結構手間と時間がかかるのです。毎度作っている立体の展示やモニターディスプレイの設定、販売するグッズ(今回は絵はがきと新作マグカップ)の準備など仕事は盛り沢山。個展とは言っても、ゼッタイ一人じゃできないなーといつも思います。あっという間に時間が経ち、ようやく形になったのは5時過ぎ。実はこの日6時半から「地平線会議」という探検冒険の定例トークイベントが有る。毎月マルヤマさんか僕が司会をしている。なんとか間に合う時間に終了したものの、司会はマルヤマさんにお任せし、僕は車を返しに帰る事に。なんといっても、まだ終わっていない作品の制作を完了しないと〜。

というわけで今朝この原稿を書いてる時点でようやく絵も揃い、今日は早めにギャラリーに行って展示を完成させます。

いつもとちょっと違う(?)展示でお待ちしてますので、お越し下さいねー。

【前日(9月27日)の設営風景より】

▲ショーウィンドウに置く立体作品「琵琶猫法師」に着付けをするリョウノスケとサチコさん。稲ワラを三つ編みにした芯に和紙を貼り重ねて形成してある。

▲絵葉書を袋詰めするヒトミちゃん。今回は「平家編」と「源氏編」の2種類、各3枚入り(500円)を用意した。

▲最後のライティングはタケダさんの独壇場。

▲お疲れさまでした。

お知らせ

神宮前のギャラリー・ヒッポで1年おきにやってきた「長野亮之介の絵しごと」、今年も9月28日(土)から10月6日(日)に開催するはこびとなりました。

今回のテーマは「流西遊影 —— にしにながれてかげとあそぶ」。琵琶を弾きながら語る平家物語の世界にインスピレーションを受けて、西に向けて逃げていく平氏と追いかける源氏の幻影を水彩で描きました。旅で撮った写真やスケッチをもとにした絵日記、立体作品も展示します。

どうぞ、気軽に足を運んでみてください。

このサイトまだ仮オープンです。少しずつコンテンツを充実させていきます。絵師の在廊予定なども、ここで確認してください。よろしくお願いします。